性被害(性虐待)にあったこどもから被害を打ち明けられた

事例
小学5年のまいちゃんは、元気がなく、食事中もどこか落ち着かない様子です。ある日スタッフが「最近どう?」と声をかけると目を伏せて小さくつぶやきました。「家にいるとお父さんにいやなことをされる…お父さんにはいつも2人だけの秘密だよと言われている。お母さんには言わないで。」とまいちゃんの声は震えていました。意味を理解したスタッフは動揺しながらもどう対応すべきか迷っています。
スタッフが悩むポイント
子どもの言葉をどううけとめればいいか。
「いわないで」と言われているが第3者に話してよいか迷う。
どの機関に、どのタイミングでつなぐべきか判断が難しい。
自分が関わって対応できるのかと不安。
対応例
否定せず、ただ受け止める。
「教えてくれてありがとう」「あなたのせいじゃないよ。あなたはわるくないよ」と伝える。
具体的な内容を無理に聞き出さない。
💡ポイント
通報は「確信」でなく「疑い」でよい。(法律に定められています)「守秘」よりもこどもの安全が優先。「言わないで」と言われても命と安全を守るためには通報する義務がある。支援者の役割は「聞く」「信じる」「つなぐ」の3つだけで十分 聞き取りを頑張りすぎない→詳細を聞くのは児童相談所・警察・専門支援機関の役割
【こども・おとな・性別に関わらず性被害(性虐待)を把握した時のために知っていて欲しいこと】
★被害を打ち明けられた時に「言ってはいけない言葉」
NG表現 | なぜいけないか | 代替の言葉例 |
「本当にあったの?」 | 子どもの信頼を損ない、再被害を与える | 「教えてくれてありがとう」 |
「どうして言わなかったの?」 | 子どもに責任を負わせる | 「話すのは勇気がいったね」 |
「相手を許せる?」 | 回復を急がせる発言 | 「いまは無理に考えなくていいよ」 |
「誰にも言わないから」 | 守秘を約束すると通報義務に反する可能性 | 「あなたを守るために、専門の人と一緒に考えるね」 |
「忘れよう」 | トラウマを軽視し回復を妨げる | 「つらい気持ちを一緒に整理していこう」 |
「頑張って」 | 負担を増やす | 「ここでは無理しなくていいよ」 |
★こどもの安全を最優先に判断し、専門機関につなぐ
・緊急性がある、または被害が明らかなときは、児童相談所 189 へ連絡(匿名OK「疑い」で相談可)
・最寄りのワンストップセンターに相談する #8891
・名古屋市内/名古屋市近郊であれば性暴力救援センター「なごみ」に直接電話で相談可能
24時間365日対応可能 https://nagomi.nissekinagoya.jp/
★情報を最小限でチームで共有
・個人判断を避け、信頼できるスタッフ複数で対応する
・記録は事実のみで推測や感想は書かない。日時・事実・こどもの言葉をそのまま記載する。
・写真・録音はとらない(証拠収集は専門機関の役割)
★対応フロー
【1】気づき・発見
子どもの言葉や行動に違和感がある/性被害を示す訴えがある
↓
【2】安全の確認
現在の安全を最優先で確認(加害者との接触の有無など)
必要に応じて110番、緊急保護は189
↓
【3】傾聴と受け止め
否定せず、責めずに受け止める
「話してくれてありがとう」「あなたは悪くない」と伝える
※詳細は聞き出さない(専門機関の役割)
↓
【4】チーム内共有
必要最小限で情報共有
記録は事実ベースで(日時・発言内容・経過)
↓
【5】関係機関へつなぐ
ワンストップセンター(#8891)
児童相談所(189)
警察(110)
女性相談センター/性暴力被害者支援センターあいち
医療機関(けががある時は119/同時に110または189)
↓
【6】継続支援
相談窓口・医療・警察などへの同行
子どもの希望を尊重し、安全確保と心理的ケアを継続
↓
【7】見守りと振り返り
継続的に見守る
チームで対応を振り返り、支援者のメンタルケアも実施